ノエさんとザンシアさんとイズさん

— 古書堂イーダフェルト —

イズ : (娯楽小説を1冊取って)借りますよ~っと ザンシア : どれどれー、まずは借りてたモン返しとかないとな ザンシア : (借りていた本を元の場所に戻すと新たに一冊引き抜いてカウンターへ向かった) ザンシア : はいはい、おまたせ~ イズ : (早速捲っている)滅茶苦茶待ったぞ~ひど~い ザンシア : あ~。かれこれ3時間くらい待ってたもんね~ごめんねえ~(軽く流しつつ本を捲り始める) イズ : そうそう~せっかく約束してたのに~ イズ : 何借りたの ザンシア : あ~、せっかく気合い入れておめかししたのに台無し~ってな~ゴメンね! ザンシア : 俺ぇ?知りたい? イズ : 遅れて来たんだから教える義務がありま~す ザンシア : え~そうなのぉ? どーしよっかな~ ザンシア : まいいや。ほい。(開いたままの本を相手の方へ押し出した。魔術に関する書籍のようだ) イズ : 案外専門的なの借りてない?俺ふつーの小説なんだけど イズ : あ、もしかしてザンシアって結構魔法とか詳しい系? ザンシア : 俺様も小説は好きなんだけどなー。あ、ミステリー派ね ザンシア : んー、まあ、ちょと?趣味の範囲で? イズ : え~濁すじゃん。教えてよ~俺よく考えると全然アンタの事知らないし~ ザンシア : 俺様はザンシアさん!27歳!身長はアンタとそんなに変わらないくらいの冒険者!おっ、大体これで俺の事知れたな~。やったね! イズ : 釈然と……しねえ~!なんで冒険者やってんですか~ ザンシア : 冒険者が好きだからです! イズ : 軽い! ザンシア : でも本心だし! ザンシア : そういうイズお兄さんはどうなのよ~。なんでリーンいんの?いつから冒険者やってんの?恋人は?

ノエ : (比較的珍しい賑やかな会話が聞こえる…リーン、という単語につい視線を滑らせた)

イズ : え~……探し物があって~、そんで大体え~と数えて無くって……恋人は俺だけのだから教えてやんない! イズ : お、おわっ!!悪ィ!起こした!?(視線を感じて向かいの少年に謝った) ザンシア : 『俺だけの』ねえ~。随分気になる言い方するじゃないのよ~ ザンシア : お?悪い悪い。おにーさん声デカいからさ(向かいの相手の反応につられて隣を見た) ノエ : …あ……ごめんなさい、話の邪魔を…するつもりじゃなかったのだけど……。 ノエ : 寝てたとかは……気にしないで……リーンって単語が聞こえて…つい…。 イズ : だーって俺だけのだもん、どんだけ美人かとか話して取られたらヤじゃん ザンシア : ああ、いいのいいの。気にしなーい。むしろ声掛けて大丈夫だったか? イズ : アレ、じゃあアンタもリーンの方のヤツとか? ザンシア : はあ。イズくんにはたいそう美人な彼女がいる……と(おもむろに手帳を取り出して書き付け始める) ノエ : 大丈夫…何かをしているわけでもないから……賑やかなのを聞いているのは……好きだし…。 ノエ : ……捜し物とか、冒険者とか……あなたたちもリーンの冒険者……? ザンシア : あらそう。んじゃ俺くんってば適任ねー。騒がしいのは任せてくれ イズ : まあね~リーンにはよく行くよ。俺もね ザンシア : 俺も最近はずっとリーンにいるな。だから『リーンの冒険者』ってのは間違ってないね ノエ : リーンの冒険者……そう……。……ここは静かな事が多いから人の話が聞こえるのも珍しくて…。 ノエ : ……話、遮っちゃった…? イズ : そーでもないぜ、俺はこうして話すのも楽しいし~ ノエ : ……ごめんなさい、質問に答えてなかったけど…一応僕も……リーンの冒険者、だと思う…うん…。 ザンシア : そうそう。俺も喋んの好きだからさ、ぜーんぜん遮られたとか思ってないぜ ノエ : それなら良かった……。イズと……ザンシア……でいいのかな…。よければ、話を聞いていてもいい…? イズ : いーよ。そっちがイズで俺がザンシアだぜ ノエ : ……今の、リーンとか、多分……貴方達のほうが詳しいと思うし……話したいことも在るだろうから…。 ノエ : ……?イズ?(とザンシアを見て ザンシア : お、名前の憶えがいいですなー。いかにも、俺がザンシアさんだ。『お兄様』でもいいからな イズ : あっ、もうバラしちゃう!クソ~、そうだよ俺の方がイズ! ノエ : お兄様……と呼べと言われるのは……二人目かも……。 ザンシア : あっ、ごめ~ん。お兄さん正直者だからさ…… イズ : …………二人も居るの!?そんな事言うヤツ!? ザンシア : 『そんな事』って言ったな今 イズ : だってお兄様は正直ふざけ入ってるでしょ、えっ、もしかしてガチだった……? ノエ : うん……いたよ…。ザンシアがその呼称を望むならお兄様でもいいよ……。 ザンシア : んな事シラフで言ってたら怖いだろ ザンシア : いや、うーん。申し出は嬉しいけど普通でいいかなあ…… イズ : え~なんでよぉ。お兄様~ ノエ : そう……?じゃあ、ザンシア……。 ノエ : ……兄弟? イズ : そう見える? ノエ : ……あまり……。 ザンシア : そうそう。それで頼むぜ。イズは......どうしようかな。正直やめろっつってもやめない所あるだろお前さん ザンシア : じゃあその見え方が正しいよ イズ : だって頼んだのはザンシアの方だし~…… ノエ : 正しい……そう……。 ザンシア : お前のはまだいいよ、ふざけてるから。たださ~、こういう真面目そうな子にそう呼ばせるの……なんか色々アブないじゃん……? ザンシア : 騙してるみたいで悪いし…… イズ : 気にするんだそういうの ザンシア : 当たり前だろ。一歩間違えたら自警団だぞ ノエ : 呼称があぶない……? ザンシア : 呼称っていうか、特定のお年頃の子に呼称をさせることが? イズ : ザンシアくらい年上の男がアンタみたいなちっちゃい子にお兄様とか呼ばせて悦に入ってたらケーサツ呼ばれちゃうぜってコト。 ノエ : …………だとしたら、一人目の人は……呼ばれてしまったかも、ね……。 ノエ : 教えてくれてありがと……ヨルドにも…注意しておく…。 ノエ : お兄様って、その人のこと、ヨルドも呼んでたから…。 ザンシア : あら~……ご愁傷さま……。そのヨルドってお友達も気を付けてな…… イズ : あ~お友達もそういう感じなの…… ノエ : 僕とよく似てる、らしいよ……よくわからないけど……。 ノエ : ……とにかく、記録した……。ザンシアみたいな男の人を…お兄様と呼ばない…。 ノエ : ……イズは、イズでいいんだよね…? イズ : イズでいーよ ザンシア : どんな奴か少しも想像できないけど心配になるな。詐欺とか……。 ノエ : うん……イズ…。 イズ : そういやアンタの名前聞いてないや、何て呼んだらいい? ノエ : ……ノエ。 ノエ : ……他に呼びたいのなら、なんでもいいけれど……僕は…ノエ。 ザンシア : あ、そうそう。大事な事だぜ ザンシア : ノエね!オッケー、覚えたよーっと(開いたままの手帳にまたペンを走らせる) ノエ : ……記録するの、好きなの? イズ : ノエね。おっけ~ヨロシク~ ノエ : さっきもイズの話、書き留めてたみたい、だし…。 イズ : あっ!てめ!メモったのかよ! ザンシア : ん~?いや、これは癖みたいなモンだな。忘れると困る話ってこの仕事してると多いし…… ザンシア : イズのははずかしめです ザンシア : わはは、今更気付いても遅いのだ~ ノエ : そうだね……依頼の内容とか……食い違ってたりとかすると…困るし…。 ザンシア : そーゆー事。後は誰とどこで知り合ったとかもな。ほら、人脈って結構大事な商売道具だろ? ノエ : ……人脈 イズ : 俺は忘れちゃったらその時はその時って思ってたや、大事にしてんだね ザンシア : 何かあった時助けて貰えるかもしんないからねー ノエ : 友人と、呼ぶ関係のこととか……? イズ : あ~ね、友達は大事かも?依頼で殺してきて~とか言われない限りは ザンシア : 友達もだけど、友達未満の知り合いとか、たまたま仕事一緒になった奴とかもなー ザンシア : あ、殺しの依頼は俺様もNG ノエ : ……僕は……そういう、人と接することは、得意じゃないから……それを武器と、言えるのは…すごいね…ザンシア…。 ザンシア : 人間、自分の事覚えて貰ってると結構喜びますからなー。こっちに有益な関係築こうと思うなら俺はまずそこから、って事よ ザンシア : わはは、でしょでしょー。お兄さんこのノリだけでメシ食ってるからね! イズ : よく覚えてんだねえ……俺も今度から手帳つけよっかな ノエ : 覚えることなら得意だから……ザンシアも喜んでくれる…? ザンシア : 慣れると結構役に立つぜ?なんか財布の金減ってると思って手帳見たら前日に使い込んでた……とかあるからな ノエ : イズは、書き留めたりはあまりしない…? ザンシア : そりゃ勿論。またどっかで顔合わせた時に「久し振り」って声掛けて貰えりゃ俺だって嬉しいさ イズ : 俺はしないよ。めんどいし。字そんな綺麗じゃないもんね ノエ : そう……うん、大丈夫、記録は得意だからまた会ってもちゃんと、声、掛けられるよ……。 ザンシア : そうか?そんじゃあその時はよろしくな。俺もノエの事見掛けたら声掛けるからよ ノエ : 字は……把握できれば形は何でも大丈夫だとは思うけど…。…頭で、覚えておくタイプ、なんだね…。 イズ : まーね!名刺とか貰うものは貰うけど ノエ : うん…。……ぼーっと、していたら、ごめんね……? ザンシア : 気にしませんともー。そん時ゃまた次の機会に、だ ノエ : 二人共、性格と体格はよく似ていると思ったけど……結構、真逆、だね…? ノエ : ……ザンシアのほうが、すこし、慎重……? イズ : そう?そー思うならそれでいいぜ ザンシア : 俺は言われる程じゃねえと思うけどな。けどお前さんが思うならそれでいいってのは同感だ ノエ : 僕が思うなら……そう……。 イズ : ん?そんな気になる言い回しだった? ノエ : ……僕が、間違ってるとも、 ノエ : 正しいとも言わない、そんな言い方だから…。 イズ : だって今会ったばっかでどっちが本当は慎重なのかとかわかんないでしょ。ほんとは俺のが慎重だとしても、今アンタが俺らの話だけ聞いてそう思ったことは間違いじゃないし。 イズ : 真面目ね~ノエちゃんは~わはは ザンシア : まあそうな。それにほら、俺の「正しい評価」なんてのは俺にも分かんねえから。だから相手さんが思った俺様が正解でいいと思うんだよね ザンシア : あ、真面目な事言っちゃった。お茶のもーっと

ザンシアは、紅茶を使った。 深いコクとあっさりとした後味。 ザンシアは3のSPを回復した。  ([3])

イズ : ザンシアも真面目な事言うじゃん~真面目な空気になっちゃったな ノエ : ……言わない、じゃなくて僕が正しいとか、間違ってるとか、二人はそもそも評価する気がない……ということ…? ノエ : だから……僕が思うなら、それでいいと…? イズ : うん。どう思われたって俺は俺だし。 ザンシア : そこまで複雑には考えてねえけどな。大体それで合ってるよ

イズは、コーヒーを使った。 しっかりとしたコクとなめらかな口当たり。 イズは5のSPを回復した。  ([5])

ノエ : ……そう…。なら……その……。 ノエ : ……僕は、そう、思った、よ…? ザンシア : じゃ、それで正解! イズ : 上出来。ま、俺が記録とか付けないのは俺が死んだ後に困る事があったらイヤだから、だぜ。こう言うと俺も慎重そうに聞こえるでしょ ザンシア : おー、さっすがイズお兄様。慎重派ぁ ノエ : ……う…(正解という言葉に目を瞬かせたものの、イズの言葉に少し困ったように視線を動かした…) ノエ : ……情報不足で、判断は……早計だったかも、ね……。 ザンシア : アレかなあ。ノエは割とはっきりした答えが出てないと苦手なタイプか イズ : へへ、言ったでしょ。会ったばっかじゃわかんないってね。ノエも何か飲んだら?喋り通しで喉乾いたでしょ ノエ : ……判断できないことは、答えがわからないことは……理解できないでしょう……? ノエ : え、あ……うん……そうする……。

古書堂の店番 : ああ、茶葉を持っているんだね。  わかった。それじゃあ淹れて来るから、少し待っていてね。 古書堂の店番 : おまちどうさま。ゆっくりしていってね。

茶葉(緑)を失った。 緑色のハーブティーを淹れてもらった。 ......出された飲み物にはストローがさしてある。 ノエは[ストロー]になった

ザンシア : これ以上いじめると困っちゃうかなー。まあそういう事もあるねって事にしときましょ ノエ : (預けていた茶葉があったらしい、深い緑のハーブティーを頼んだ。......出された飲み物にはストローがさしてある。) イズ : あれ、ストローとか付けてくれるんだ? ノエ : ……いじめてるの?ザンシア……。 ノエ : ……ん、よく来るから……覚えてくれて ノエ : (と、ストローに口付けた。そのグラスに手は添えられない) ザンシア : いじめてるっつーのは言葉の綾かなあ。でもあんまり俺がこれはそうじゃないだとか言ったってお前さん困っちゃうだけだろ? ザンシア : あらーいいサービスね イズ : 変わった飲み方するな…… ノエ : (久しぶりに喋って喉の乾きを覚えていたのは本当だ、ストローから口を離す)……ん…、僕には少し……難しいことを言うもの二人共…。 ノエ : ん……助かってる……無いともっと飲むのは大変だし……。

フルーティーで優しい味わいが広がる……。 ノエは2のSPを回復した。  ([2])

ザンシア : 単純に生きてると逆に難しくなっちゃうのかねえ~。ま、色んな考え方があるよね! イズ : 難しかったのか~、じゃ、簡単そうな話するか! ノエ : 簡単……? ザンシア : おう、頭使って疲れたからおひとつ頼むぜ イズは、手帳を使った。 イズ : 今何時だ~?(置時計を卓上に置いて見せた) ザンシア : こんな身近に世界の真理があるとはな…… ノエ : 午前2時…の25分…? イズ : 正解。子供はもう寝る時間だし俺も珈琲飲んだとはいえ結構眠いぜ? ノエ : あ……。 ザンシア : いやー、ちょっと本借りてお星さま見ながらコーヒーでも啜ろうと思ってたら結構夜更かししちまった ノエ : ……ごめんなさい、気づかなくて……二人共、リーンの冒険者なら…依頼もあるのにね……。 イズ : 俺は明日サボるからいーけどね。今夜はこっちに泊まるつもりだし ザンシア : そうそう、腐っても冒険者だからな。自分の仕事の管理くらいはしてますとも!明日は休み! ノエ : ……でも、夜ふかししたら、せっかくの休暇も……駄目になっちゃうよ…。 ノエ : ……話をして引き止めたのは、その…………僕だけど…。 ザンシア : 平気だ!俺くらいの冒険者になると昼過ぎまで寝るのが優雅な休日の過ごし方なんでな! イズ : そこは同意しちゃうな!

フルーティーで優しい味わいが広がる……。 ノエは5のSPを回復した。  ([5]) あと少しでなくなりそうだ。

ザンシア : だからあんま気にすんなよー。話せて楽しかったしさ ノエ : ……そう……なのかな…?(少し首を傾げたが、ザンシアの言葉に向き直り) ノエ : それなら……よかった……二人の話に、入ってしまったようなものだし…。 イズ : カノジョの事聞かれて結構困ってたから助かったようなもんだぜ! ザンシア : 俺も俺もー! ノエ : ……久しぶりに、知らない人と話したから、僕も……楽しかったよ…。……それは…今言っちゃったら、また聞かれない…? フルーティーで優しい味わいが広がる……。

ノエは6のSPを回復した。  ([6]) 全て飲み終えた。

イズ : やべ、 ノエ : (グラスの残りのハーブティーを飲みきってしまう) イズ : (立ち上がって本を掴んで貸し付けてもらい) イズ : こういう時は、逃げる!じゃあなザンシア!ノエ! ザンシア : あ、逃げた!!ずっこ!! ノエ : ……(目を瞬かせて、入り口に走るイズを視線で追いかけた) イズ : (体格の割には相当早く走って行った、前はあんまり見てない) ザンシア : 次会ったら今度こそ根掘り葉掘りしてやるからな~(へらへらと笑いながら、走り去る背中を見て手を振った)